心の散歩道

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2018年

奥守さま

お檀家さんから孫の初参りにお寺に伺いたいと電話がありました。東京で知り合った娘の主人は、浄土真宗のお坊さんでした。来年には実家の寺に帰って後を継ぐことになりました。長男が生まれたので妻の実家の菩提寺に報告したいと娘婿さんの申し出でした。

浄土真宗のお寺の奥様は「坊守さん」と呼ばれ、門徒(檀家)の母親として大切な存在だそうです。やがて僧籍を取得し僧侶の一員としても勤めるのだそうです。ご両親や彼女にしてみると心配だらけで、お話したかったようです。

私事ですが、家内を亡くして九年が経ちました。多発性骨髄腫が発病して八年間闘病治療しました。「悪魔の薬」として昭和30年頃問題になったサリドマイド薬が効能があるということで、厚生省の特別許可を得てイギリスから取り寄せたり、枇杷の実の焼酎漬けが薬効があると聞いて貰いにいったものでした。難病指定も無く治療方法も分からず、ただただ病院の先生にすがるしかありませんでした。後の3年は週に3日の透析でした。気丈な家内でしたので、弱音や小言を家族以外に見せることはありませんでしたし、住職の私をしっかりサポートして支えてくれました。

仲むつまじい夫婦の喩えとして比翼連理と言いますが、左右の翼が一つの心になって空高く遠くまで飛ぶことができるのです。片翼を失った鳥は身動きが取れず何もできません。苦しく悲しいものです。

若い二人に琴瑟相和の思いを忘れること無くご実家のご寺院を盛り立てて欲しい。僧侶は表の顔、坊守さまは影の力としてお互いに認め合うことが大事だと、お話させてもらいました。