
さだめと受けとめて
合掌童子の絵を描いておられる佐久間顕一さんにお目にかかる機会がありました。現在97歳に。でも大きな声をされしっかりしておられました。合掌童子を繊細な線で描かれ、今日までに数十万体描いておられます。
その息子さんは長年海外で仕事をしておられたのですが、先般帰国されたとのこと。「向こうの上司から、もう両親のもとに帰ってあげなさいと言われ、決心した」と。お母さまがこんなことを言われました。「この子は帰りたくなかったのかもしれないけど、この子に与えられた〝さだめ〟ということなのでしょうかね。人にはそういう時があるでしょ。そんなことを思うの」。
〝さだめ〟、私も自らを思い返しました。思いもしない土地のお寺の住職にと招かれ、当初は迷いましたが、それがさだめだったのでしょうか。皆さんに大事にしていただき、今日を迎えることができました。
そう言えば、作家の佐藤愛子さんが幼少時代を回顧してこんなことを言われていました。乳母に育てられたそうですが、小学校に行くのが嫌だ、これは嫌だなどと言っていると、「お嬢さん、大きゅうなったらどうしてもせんならんということが世の中にはおますのやで」と言われたそうです。「なるほどそうか」と行動を改めたといわれます。
誰でもそういう時があるのでしょうね。佐久間さんの息子さんも素晴らしいご両親のもとで、これから新たな道を切り開いていかれることでしょう。
お別れする前にお母さまが言われました。「歳をとると、体が沈むような時があるのよ。でもね、お題目をお唱えすると不思議に体が真っすぐに伸びるように思うの。ありがたいです」と。ありがたい言葉でした。