
「明日は我が身?」
父は今年、数えの93歳になりました。体型も背中が丸くなり、一回り小さくなった感じです。耳がほとんど聞こえなくて、なかなか会話になりません。ゆっくり話してみたり、表現を変えてみたり、ジェスチャーをしても、耳に手をかざしながら「はあっ?」と聞き返します。だんだん声も大きくなって、端から見ればけんかをしているようになります。そのうち何の話をしていたかわからなくなり「もうええわ」と話をやめると、父は悲しそうな目をします。補聴器を薦めるのですが、かたくなに嫌がります。いずれ自分もそうなっていくんだろうなあと思って、気を取り直してまた話し始めます。
ところが、いずれではなく自分もすでに右耳の聴力が落ちていることに最近気づきました。毎朝、目覚まし時計の電子音で起きるのですが、ある日時計をいつもと逆の右側にセットして寝たら、目覚まし音がいつもより小さくてこもったように聞こえました。電池でも切れかかっているのかなと思って試しに鳴らしてみると、いつも通りの音がします。何気なく左右に首をひねってみると、音にムラがありました。そこで左右の耳を交互に塞いで聞いてみると、左耳を塞いだとき、電子音の高音域が全く聞こえていないことが分かりました。歳と共にモスキート音(蚊の羽音のような高い音)が聞こえなくなるというのはもう始まっていましたが、それよりも少し低い音域まで聞こえなくなっていました。そう言えば思い当たるところがあります。毎日の朝勤で木鉦の甲高い音が耳に痛かったことがありましたが、いつの間にか感じなくなっていました。いわゆる職業病なのかもしれません。今のところ困ったことはないのですが、家族からすると、聞こえてないことが多いぞと言われそうで、尋ねることができません。これからは、老いを受け入れながらできること、楽しみを探していこうと思います。