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心の散歩道

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2021年

コロナ禍におもう

「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」とは宮沢賢治の有名な言葉です。『農民芸術概論綱要』の序論にでてきます。

現在(5月末日)に至って、新型コロナウイルス感染はまったく衰えません。今、日本では医療関係者、高齢者へのワクチン接種がはじまっていますが、その割合はまだ平均10%にも達していないようです。世界を見ますと、西欧諸国が接種率が高く、いわゆる後進国はわずか数%の接種率があればいいほうです。ワクチンの奪い合いは熾烈を極めています。当然、お金を持っている国、立場の強い国が有利ですから、西欧社会を中心に接種が進んでいます。

しかし、よくよく考えてみますと、このグローバル化の世の中、完全な鎖国でもしない限り、このウイルスを防ぎきる国などどこにもありません。まさに「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」状況なのです。ほとんどすべての人類にワクチン接種が終わらない限りこのウイルスを押さえることはできず、自身の罹患を防ぐことは到底できません。ワクチンの特許をフリーにしてワクチン製造を促進させようとの動きもありますが、これも西欧社会の反対で実現が難しいようです。

このコロナ禍が、人類全体に鳴らされた警鐘だと捉え、「利他主義」を実践する好機に恵まれたと考えることができたならば…と夢想するのですが、現状はより強い「利己主義」の蔓延となってしまっています。

仏さまが示された、私たち人間の心を蝕む「三毒」、貪りの心、瞋りの心、愚かなる心がそう簡単になくなることはないのでしょうが残念です。