
「あったかロード」
新学期が始まる前に大阪から岡山に引越ししてきた小学五年生のもかちゃんは、今朝も元気に家を出ました。通学路途中の家のおじいさんがガラガラと戸を開けて、
「おはよう。今日もがんばってこいよ。応援しとるぞ」
と、今朝も声をかけてくれました。昨日の朝、もかちゃんはちょっと遅くなって家を出たのですが、そのおじいさんはもかちゃんの姿をみつけたらすぐに戸を開けて、
「今日はいつもよりおそいで。急いで行かなきゃだめだね」
と言ってくれました。
大阪では、知らない人に声をかけられたら応えずに早く行きなさいと教えられていました。ですから何も言わないで、急ぎ足で通り過ぎていました。
しばらくして、道の両側に住宅が並んでいる通学路を『あったかロード』と呼ばれて、そこを通る小学生みんなにやさしくあたたかく声をかけてくれているのだと聞きました。地域の人がみんなで見守りや声かけをして、犯罪の少ない地域にしようと頑張ってくれていたのでした。
もかちゃんは、それ以来おじいさんの言葉に返事をするようになりました。毎朝おじいさんの笑顔が楽しみになりました。時に、おじいさんが出てこられないと、心配になり家の前で待ったりのぞきこんだりもするようになりました。
もかちゃんは、おじいさんが笑顔で話しかけ続けてくれたからこそ、自分も『あったかロード』の一員になることができたような気になりました。
『あったかロード』といえるようなところがいっぱいできるとうれしいなと、もかちゃんは今日も元気に小学校に行っています。