ホーム>法話>心の散歩道>2023年>自宅でのお葬式

心の散歩道

心の散歩道

2023年

自宅でのお葬式

ある新聞の地域ニュース版に「母の葬儀で感じた温もり」と題した小さな投稿記事を見つけました。筆者は「瀬戸内家族」という写真集を出されている写真家のかたです。

「母の葬儀は身内でささやかにおこないたい。それが本人の希望でもあった」ということでだんだんと多くなってきた家族葬を選択されます。ただ、「最近の葬儀は斎場で行うのがほとんどだが、最後のお別れは思い出がつまった自宅でやるほうが本人も喜ぶように思えた」と自宅で葬儀をされたとのことです。

私は30年ほど前に住職になりましたが、その頃はほとんどが自宅でのお葬式でした。それが少しずつ葬儀会館でのお葬式に変わっていきました。それでも最初のころは、病院でお亡くなりになっても自宅にご遺体を連れて帰り、枕経とお通夜は自宅で営み、葬儀のみを会館で行う形が多かったように記憶しています。それがいつしか、ご遺体は病院から直接に会館へ運ばれ、枕経からすべてを会館で執り行う葬儀がほとんどとなってしまいました。

「ただ、それには人手が必要になる。幸い妻の両親と妹が駆けつけ、手狭な実家をきれいに片づけてくれた」と記事にもありますが、自宅での葬儀は一人や二人だけの力では無理な面もあります。しかしそれこそ、少人数の家族葬ならば、昔みたいに、家全体を片づける必要はなく、多くの人の手を煩わせることなくできそうです。

花屋さんは「コロナで葬儀も手抜きばかりなのに珍しい」と値段以上の生花を持ってきてくれ、葬儀屋さんも「イレギュラーな要望にも丁寧に応じてくれた」そうで、「おかげで自宅での葬儀はあたたかさを感じさせるとても素敵なものとなった」とのことです。

葬儀会館での葬儀に比べれば、自宅での葬儀は準備が大変です。しかし葬儀の形が少人数になりつつある現状ならば自宅葬も可能で、見送った、と心から感じられる「温もり」のある葬儀になるような気がします。