
人の心を動かすものは
最近ではネットに押されて部数が減っているとは言え、少年漫画誌のトップを走るのが『週刊少年ジャンプ』です。世界的に人気を博している「ワンピース」を始め、多くのヒット作が連載されています。
その『週刊少年ジャンプ』のモットーとして知られているのは「友情・努力・勝利」の三大原則です。何があっても仲間を信じる友情、どんなことがあっても諦めないひたむきな努力、そして手にする勝利。これらの三要素が合わさって、はじめて人気漫画になると初代編集長は考え、実践してきました。
ところが時代の変化とともに、現在では価値観が多様化して、「友情・個性・勝利」へと変わってきているようです。努力の価値が下がって、持って生まれたもの「本人の資質」の価値が高まってきているようです。
確かにメジャーリーグで活躍している大谷翔平選手などを見ると、恵まれた体格や素質に目がいきます。他の追随を許さない努力はしているのでしょうが、それも素質の上に成り立っているように見えてしまいます。でも本当にそうでしょうか。
今年の2月、岡山芸術創造劇場ハレノワにて、「報恩のつどい」という日蓮宗のイベントがありました。その第2部で、山口顯辰上人により「日蓮聖人御一代記」が約1時間語られ、感動を呼びました。日蓮聖人のご生涯を繰り弁という講談を思わせる伝統的な語りでまるで目の前でその場面が演じられているようにお話をされました。
長いお話を覚えるのに何かコツがあるのですかと伺うと、「繰り返しです」と答えられます。毎日、自分で1時間お話を語ってそれを録音して、自分で聞き直し悪いところを改める。また翌日も同じことを繰り返す。それを何ヶ月も続けて本番に臨みますとのこと。素質でも才能でもなく、ひたむきな努力の姿がそこにはありました。やはり努力が人の心を動かします。