
お悔やみ電報
「母親が亡くなりましたので、枕経をお願いします。家に帰っていますので、ご都合がおありでしょうが、よろしくお願いします」と電話がありました。
枕経に行き顔を見ると、おばあさんは綺麗に化粧をして、寝ているようでした。枕元に小さなぬいぐるみの犬が、顔につくように置いてありました。
「母は認知症になっていたので、お父さんのことは少しは分かりましたが、ほかの家族の者は分かってもらえなかったのです。この犬はお母さんの友達でした。いつから友達になったのか、子どもの頃の思い出なのでしょうか。
私はこれから病院に行って、腰のあたりを診察してもらおうと思っているのです。痛いのを我慢してずっと付き添っていたのです。お葬式に参列できるかどうかわかりません」と娘さんが沈んだ声で言われました。
お葬式の当日、娘さんの姿がありませんでしたので、様態を聞くと緊急入院したとのことでした。その代わり、娘さんから弔電が届いていました。
「お母さんへ
とうとう旅立つ日がきましたね。こういう時にそばにいてあげられないのが一番悔やまれます。でも最後に会った日、声掛けすると穏やかな顔で目を開けてくれましたね。九十五年間生きてくれてありがとう。大往生だね。私はあなたの娘に生まれてよかったよ。施設でも皆さんがお世話くださり本当によかったね。これからは、お父ちゃんや私たちを見守ってください。そしてゴンと一緒に安らかにお眠りください。ありがとう」
人は死にます。惜しまれて死ぬのが当たり前。やっと死んだかでは、切ないですね。