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心の散歩道

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2024年

たくちゃんの死

この世に生まれた「順番」から考えると、先に生まれた親から先立って逝くのが「順番」なのかも知れませんが、世の中は無常にもその「順番」通りとはいきません。

ある日、母親と大阪で生活していたたくちゃんが26歳の若さで突然亡くなりました。恥ずかしがり屋で、心優しいたくちゃんは、大学を卒業して住み慣れた大阪の介護施設に就職しました。正義感も強く与えられた仕事もきちんと行っていたそうです。

たくちゃんは、数年前におじいちゃんに先立たれ、岡山の施設で暮らしている高齢のおばあちゃんのことをとても心配していました。ある日、おばあちゃんのことで娘さんとたくちゃんの住む大阪の施設へ転所するか話し合いが行われました。たくちゃんが「俺が施設をさがすよ。おばあちゃんを大阪に連れて帰ってやればいいやん」と、声をかけてくれました。その後、たくちゃんがすぐに施設を見つけてくれて、娘さんとたくちゃんの住むところの近くの施設への転所となりました。たくちゃんは、おばあちゃんが近くに来てとてもうれしかったようです。おばあちゃんの様子を見に行ったり、届け物の用事をしたり一生懸命にお世話をしてくれていました。

おばあちゃんが大阪に転所して半年が過ぎようとしたある日、いつものように晩ご飯を食べて、いつものように自分の部屋に戻って、いつものように休んだたくちゃんでしたが、次の日の朝には息を引き取っていたそうです。通夜から葬式まで、止まらない涙を拭きながら棺に眠る我が子に声を掛けていた母親の姿を見て、改めて年齢を問わない命の儚さを思いました。

子は親より先に逝ってはいけない、たくちゃんのように避けることができないこともありますが「順番」を守って、親から授かったいのちを大切にして生きて欲しいと感じました。