心の散歩道

心の散歩道

2015年

和食

最近、外国人の視点から日本の良さを紹介するテレビ番組がいくつか放映されています。当たり前のようで、気にも留めていなかったことが、そんな深い意味があったのかと驚かされることがあります。

例えば、お料理の手前にお箸を横向きに置くのは、自然界からいただく食材と、人間との間の結界とする考え方もあり、いのちあるものを自分のいのちにさせていただくことに感謝して、手を合わせて「いただきます」と言ってから、お箸を手に取るとよいそうです。食べ物に対して感謝を述べるのは、世界の中で日本人だけだと言うことにも驚かされました。

平成25年の12月に『和食』がユネスコの無形文化遺産に登録されました。『和食』とは、お料理や、その調理法だけではなく、器や「いただきます」「もったいない」などの食事の空間に付随する、日本の食文化全体のことをいいます。農林水産省は『和食』を「自然の尊重という日本人の精神を体現した食に関する社会的習慣」として申請し、認められたのです。

ところが、今の日本の状況はどうでしょうか。食糧自給率は4割以下。にもかかわらず、世界中のどの国よりも食べ物を残し、一番多く捨てているのが日本人なのだそうです。

こんな現状では、恥ずかしくて、日本の自慢をしてなどいられません。

ありとあらゆる食材が、当たり前のように手に入る幸せに麻痺して、日本人から失われそうなものがあります。「有り難い」の反対語は「当たり前」です。当たり前と思ってしまったら、感謝の気持ちは消えてしまいます。

年中行事や郷土料理に込められている、先人が残してくださった和食の精神を、再び思い起こしましょう。

観光で来日する外国人の数が増えている中で、和食の世界遺産登録が、改めて日本らしさを認識し、何事も大切に「有り難い」と感じられるきっかけになってほしいと思います。