
痛いのはここ
病院で診察を待っていた時のことです。先に入って診てもらっているお年寄りの方の声が待合室まで聞こえてきました。おじいさんの体調が悪いようです。
「あんた、名前をはっきり大きい声で言いなさいよ」奥様の声しか聞こえてきません。背中でもたたかれているのかパシッという音まで聞こえてきます。
「どこが痛いのかと聞かれてるじゃないの。ちゃんと答えなさいよ。なんで黙っているの。早く痛いところを言いなさいよ」また背中をたたかれている音が聞こえます。
おじいさんは小さな声で「痛いのはここ」と背中を指さしているのがかすかに見えました。
失礼ながら笑ってしまいましたが、うちでも同じようなことがよくあります。その都度、まだたたかれなくても「ここが痛い」と背中を押さえるようにしています。
別の医院で、患者さんが先生に話しています。「先生、いつまでも元気でいてくださいよ」老先生が答えます。「手が震えるようになるまで、まだ大丈夫じゃ。心配せんでもええ。それでも、若い女の子を診ていたら胸が震えるけどな。ハハッ」。元気な先生です。
先日、私は急に足の膝が痛みだし歩くこともできなくなり、病院にやっと行きました。先の元気な先生に診てもらって、やがて痛みも治まり、普段通り歩けるようになりました。
痛みが治り、ふと思いました。私は皆さんの心の痛みを和らげてさしあげているのだろうかと。皆さんにちゃんと向き合っていないと難しいことです。ユーモアも忘れず、皆さんに寄り添って元気に過ごしていきたいことです。